カスタマーエンゲージメント


顧客中心時代のCX(カスタマーエクスペリエンス)とは?向上のためのポイントや成功への道筋について

Team Braze 作成者: Team Braze 2023/06/13

CX=顧客体験を向上させることは、売上だけではなく顧客満足度やロイヤリティを大きく向上させることにつながります。

この記事では、現代のマーケティングにおいて重要な「CX」とはどのようなものなのかを解説し、顧客体験価値向上のためのポイントや成功への道筋、実例などをご紹介します。


1. CX(カスタマーエクスペリエンス)とは

CXは「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略で、日本語では「顧客体験」と訳されます。似た概念としてDCXという言葉がありますが、DCXは「Digial Customer Experience(デジタルカスタマーエクスペリエンス)」の略で、デジタル領域における顧客体験を意味しています。したがって、DCXはCXに内包される概念といえます。

しかし、どこからがデジタルの体験でどこからがオフラインの体験なのかを顧客が都度意識しているわけではありません。そのため、商品やサービスを提供する際には、デジタル領域に限らず顧客体験全体の設計をすることが求められます。

1.1 CXが重要視される背景

近年、技術の進化に伴いサービスや商品の差別化が難しくなってきています。インターネット・SNSなどにより情報があふれ、顧客自身で簡単に情報を取りにいくことが可能になったことが、価値観やライフスタイルの多様化につながりました。さらに、デジタルデバイスの普及によって顧客接点は増加し、複雑化しています。顧客体験は商品・サービス購入の前から始まっており、購入後も自社商品・サービスに関するすべての体験がCXの対象となる時代が訪れているのです。

2. CSやUI/UXとの違い

CSやUI/UXとの違い

次に、CXと混同されやすい「CS」や「UI」/「UX」との違いについて解説します。

「CS(カスタマーサティスファクション)」の主な目的は、顧客満足度を維持するために不満を解消することにあります。活動対象は企業のコールセンターやお客さま窓口です。一方、CXは顧客の期待を上回る体験・価値を提供するものです。マイナス要因を解消するCSとは異なり、顧客に体験を通じて感動を与える目的があります。

「UI(ユーザインターフェース)」は、主にサイトやアプリの見た目や使いやすさを表します。見た目とは、デザインだけではなく、レイアウトやメニュー、フォントやサイズ、ボタンの配置や操作性など、ユーザーが目にしたり操作するものすべてを含んでいます。

「UX(ユーザエクスペリエンス)」は、自社商品やサービスの利用中、もしくは利用した結果の体験を意味します。CXとの違いは「対象数」です。UXは単一の商品やサービスのほか、Webサイトなどの顧客接点も対象となります。

一方、CXは商品・サービスとの出会いから購入体験、コールセンターを含むアフターフォローなど、購入前後すべての顧客体験が対象となります。


3. CXが向上することで得られるメリット

では、CXが向上すると具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。

3.1. サービス・自社製品の認知拡大

CX向上による一つ目のメリットは、サービスや製品の認知を拡大することで新規顧客を獲得できることです。優れた顧客体験を提供し続けると既存顧客が好意的な情報を発信するようになるため、宣伝・クチコミ効果が期待できます。

3.2. 顧客満足・顧客ロイヤリティの向上

CXの向上により顧客満足度が高まれば、顧客ロイヤリティの向上も見込めます。顧客ロイヤリティは離脱を抑制し継続利用につながるものであるため、LTVの向上が期待できます。

3.3. リピーターの獲得

満足度の高い顧客体験は、消費者にとって「また購入したい」というモチベーションにつながります。つまり、CXの向上はリピーターやロイヤルカスタマーの育成につながるのです。リピーターやファンが育成できると盤石な売上基盤ができるため、売上の安定化にもつながります。

3.4. 競合他社との差別化

CX向上の大きなメリットは、競合他社との差別化ができることです。昨今、モノづくりにおける技術革新により、商品やサービスそのもので差別化を図ることは難しくなっています。しかし、提供される顧客体験こそが自社のブランディングにもつながり、競合他社との差別化のポイントとなるのです。

4. CX向上に重要なOMOとは

CX向上に重要なOMOとは


CXを向上させるためには、OMOマーケティングも重要な要素となります。その意味や注目される背景、その重要性などを見ていきましょう。

4.1. OMOマーケティングとは

OMOとは、「Online Merges with Offline(オンライン マージズ ウィズ オフライン)」を略したもので、「オンラインとオフラインの統合」を意味します。顧客が店頭やオンラインショップ、ウェブサイトなどのチャネルの違いを意識せず、スムーズでシームレスな利用を実現することで、顧客体験の向上を目指すためのものです。

OMOの詳細はこちらの記事でも解説しています。
OMOの意味とは?オムニチャネルとの違いやメリット、導入事例について紹介


 

4.1.1. 注目されている背景
OMOが注目される背景には、スマートフォンの普及が強く関係しています。スマートフォンの普及により、消費者はチャネルを意識せずに行動できるようになりました。店舗のようなオフラインの環境でも口コミやレビューなどを確認したり、オンラインショップのような環境でもリアル店舗で受けるような接客や信頼性の高い情報を求めたりするようになっています。


4.1.2. OMOの重要性
ユーザーや消費者は、「オンラインショップ」と「店頭(オフライン)」を分けて行動しているわけではありません。OMOに対応すると、顧客がどこにいても、顧客ごとにすべてのチャネルでパーソナライズされた体験を提供できます。それにより顧客は「これは自分のためのサービスだ」と感じるCXや顧客満足度の向上につながります。


4.2. OMOマーケティングのメリット

OMOマーケティングのメリットは、オンラインとオフラインの境界を感じさせない消費環境を実現することで、顧客目線に近いサービスを提供することにあります。シームレスなブランド体験はCXの向上につながります。


4.3. OMOマーケティングの注意点

OMOマーケティングは、効果が出るまでに時間を要する取り組みです。どのようにチャネルを連携させるのかの検討や、システム間の連携などに時間がかかります。

しかし、だからといってOMOを実施しなければ顧客にシームレスな顧客体験を提供できません。実施の際には、業務負担を抑えつつ迅速にOMOマーケティングのスタートに貢献するカスタマーエンゲージメントプラットフォームの導入を検討することもおすすめです。

5. CXを向上させるポイント

CXを向上させるには、しっかり押さえておくべきポイントがいくつかあります。そのポイントを3つご紹介します。

5.1. 自社にあったツールを活用する

顧客体験を向上させるためのCXツールは多種多様ですが、以下のようなツールが一般的です。

・CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツール
・MA(マーケティングオートメーション)ツール
・Web解析ツール
・Web接客ツール
・レコメンドエンジン
・CDP
・プライベートDMP

どのツールを活用するかは、自社の達成すべき目的や実施する施策によって異なります。各ツールの特長やメリット・デメリットを把握したうえで、自社にあったツールを導入しましょう。

5.2. 定期的にアップデートを行い見直す

価値の高い顧客体験を提供し続けるためには、定期的なアップデートやPDCAによる見直しが重要です。また、PDCAサイクルを回すためにはデータ収集が要となります。取得データが十分かどうかも定期的に見直すと良いでしょう。

5.3. 部署ごとではなく会社全体で対策する

顧客満足度の高い体験は、会社全体による取り組みの結果として現れます。特定の部署だけではなく全社で取り組むことが大事です。顧客中心の体験設計は、マーケティングだけではなく社内システム基盤などのITチームやECチーム、店頭チーム、お客さま窓口など、顧客と接点のあるすべての部署が関わらなければ実現は難しく、体験が途切れてしまうことになりかねません。

6. CXを向上させる施策の流れ

CXを向上させる施策の流れ

CXを向上させる施策の具体的な流れを、以下の4つに分けてご紹介します。

6.1. カスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップでは、誰が、いつ、どのような行動をし、どのような気持ちになって購入に至るかを検討します。顧客の行動にどのような知覚刺激を与えると感情が変化するのかを把握するために有効です。購入がゴールではなく、その後のレビュー(シェア・拡散)まで検討できるとより良いでしょう。

6.2. 分析・課題を可視化する

カスタマージャーニーマップを作ったら、実際に顧客データを分析することで課題を可視化していきます。顧客の行動結果はカスタマージャーニーで想定した通りになっているかを検証し、結果通りでない場合は改善ポイントを検討します。

6.3. 抽出した課題から仮説を立てる

課題が抽出できたら、解決すべき課題に仮説を立てていきます。各施策に設定されたKPIに近づけるよう、優先順位を決めて施策を実行しましょう。

6.4. 検証や改善を繰り返す

仮説を立てて施策を実行したら、検証や改善を何度も繰り返していきます。改善を繰り返して施策の効果を上げていくことはもちろん、成功要因を分析し、他の施策に反映していくことも重要です。改善点だけではなく、成功した施策についても検証を行いましょう。


7. 顧客時代のCX向上を目指すなら「Braze」の導入検討を

CX向上を目指すのであれば、ぜひカスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」の導入をおすすめします。

全体設計をしないうちに付け焼刃的にツールを導入していくと、ツールの互換性がなかったり、データ連携ができないといった問題が発生します。しかしBrazeであれば、単一のインターフェース内でレスポンシブなクロスチャネルの顧客体験を実現することが可能です。また、世界クラスのデータセキュリティに準拠しているため、大切な顧客データを厳重に扱うことができます。

顧客体験の設計に最も重要となるデータとその分析ツールも使いやすく、リアルタイムのデータを活用しながら、すべてのお客さまにベストなタイミングでパーソナライズの体験を提供することができます。

7.1. Braze導入事例

全世界1万8,000以上の店舗を展開するPizza Hutは、CXの向上により収益を増加させることに成功しました。従来からEメールやSMSもマーケティングに活用していましたが、クロスチャネルでの顧客コミュニケーションを一元的に把握する機能がなく、顧客体験が分断されてしまったり、社内でのデータ分析や運用に莫大な手間と時間をかけてしまったりしていました。

しかし、Brazeを導入したことで、データ分析の時間を大幅に削減することに成功。カスタマージャーニーを構築する機能やメッセージのパーソナライズ機能を駆使することで、数百種類のバリエーションを持つコミュニケーションメッセージの配信を可能にしています。

さらに、プッシュ通知やアプリ内メッセージも活用することで顧客ポートフォリオを充実させ、ニーズが高まるタイミングを逃さずアプローチすることで、顧客とのコミュニケーションを図っています。

標準的なメールと比較し、トランザクションは+30%アップ、収益+21%向上、利益+10%向上と、大きな成果をもたらしています。

Pizza Hut事例 : 機械学習を活用してチャネルを追加し、収益を21%増加

8. まとめ

この記事ではCXについて解説しました。

顧客が「また買いたい」と思う顧客が求めているブランド体験を提供し続けるためには、顧客を取り巻く環境や行動・心理変化などを理解しておかなければなりません。顧客を正しく理解できていればエンゲージメントは高まり、顧客のリテンションが高まり、LTV向上につながり、盤石な売上基盤を形成することができます。

2023年のカスタマーエンゲージメントの最新グローバルトレンドやビジネス課題に取り組むために役立つ、組織作り、テクノロジーの活用、最新事例などの独自のデータインサイト「2023 グローバルカスタマーエンゲージメントレビュー」は以下からダウンロードが可能です。ぜひご一読ください。

2023 グローバルカスタマーエンゲージメントレビュー(日本語版)


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