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リッチプッシュが小売業にもたらすものとは

アダム・スウィダースキー 作成者: アダム・スウィダースキー 2021/09/07

もともとプッシュ通知は、携帯電話にテキストを配信するというシンプルなコミュニケーション手段でした。しかし、現在ではマルチメディアを駆使したインタラクティブなメッセージを複数のプラットフォームに配信する、強力なチャネルへと進化しています。

これは単に見た目が変わったということではなく、データとしても有用性が表れています。Brazeの調査では、プッシュ通知のメッセージにリッチコンテンツ(音楽や動画など)を追加すると、コンバージョン率が57%向上することが判明しています。

このような進化により、プッシュ通知は小売業界でのクロスチャネルキャンペーンの重要な要素として機能しています。特に、Eメールやアプリ内メッセージ(IAM)などのチャネルと連携することで、ユーザーに適切なタイミングで情報を提供する機能として利用できるのです。さらに、リッチプッシュはメッセージをより価値のあるものにし、売上増加にもつなげられるでしょう。

プッシュ通知を有効活用するため、リッチプッシュとは何なのか、そしてなぜ重要なのかを理解していきましょう。

プッシュ通知はテキストだけにあらず

従来のプッシュ通知はタイムリーな情報を配信し、ユーザーに行動を促すことに適したチャネルでした。しかし、それ以上の情報を伝えるには、ユーザーに企業のWebサイトや、モバイルアプリにアクセスしてもらう必要がありました。

一方、リッチプッシュはAndroidデバイスで先に利用されていましたが、2016年秋にiOS 10がリリース。ユーザーへのメッセージの幅が広がりました。

より効果的なリッチプッシュに必要なものは、積極的なブランドの製品画像の添付です。文字だけのメッセージよりも目を引き、エンゲージメントを高めることができます。また、動画を使用することで、マルチメディア体験を提供し、より繊細なメッセージを伝えることも可能です。

さらにリッチプッシュでは、アニメーションGIFを添付することもできます。2016年までにFacebook Messengerで130億個近くのGIFが共有されたことを考えると、このコミュニケーション方法は現代マーケティングにおいて重要な手法の一つと言えるでしょう。

また、アクションボタンを活用することで、ユーザーがアプリやWeb環境に移動することなく企業とコミュニケーションを取れ、より高度なインタラクティビティを体験できます。

リッチプッシュの活用例

リッチプッシュの価値を最大限に引き出すため、他企業での活用事例を見ていきましょう。

例えば、全米ストックカーオートレース協会(NASCAR)は、2020年春のコロナ禍以降にリッチプッシュを上手く活用しています。

NASCAR は、コロナ禍でレースが中断されている間もファンの興味を損なわないよう、デイル・アーンハートJr.やカイル・ブッシュといった本物のNASCARドライバーが、バーチャルカーをバーチャルトラックで走らせる「iRacing Pro Invitational Series」を制作しました。その際、Brazeのリッチプッシュを使ってこのイベントを告知し、NASCARアプリへのトラフィックを誘導したのです。

NASCARは、画像を使ったプッシュ通知を配信することで、新しい形のスポーツに関心があるレースファンの獲得に成功しました。このリッチプッシュキャンペーンはAndroidの開封率が9%、iOSの開封率が4%で、業界標準を大きく上回りました。コンバージョン率も40%と、全体的にエンゲージメントを高めることに成功しています。

リッチプッシュを小売業に活かすには

リッチプッシュはあらゆる業界で活用できます。もちろん小売業にとっても、ユーザーの関心を集めて購買をはじめその他の重要なアクションを促すための優れた方法となります。画像を多用したプッシュメッセージを利用すると、ユーザーの案内、お買い得情報の紹介、パーソナライズされた商品の推奨などを、印象的に表現できるのです。

また、リッチプッシュはインタラクティビティにおいて真価を発揮します。この機能の重要な例として、ライドシェアアプリのUberが挙げられます。Uberはリッチプッシュを利用して、ユーザーが自分の乗った車を追跡できるようにし、マーケティングと製品体験の両方を一度に提供するメッセージングを行いました。

このように、プッシュのさらなる活用法はまだまだ模索中の段階ですが、アウトリーチと製品エンゲージメントの境界線をより曖昧にできる可能性もあるのです。

まとめ:リッチプッシュのこれから

リッチプッシュを配信するためにはユーザーのオプトインが必要です。ウェアラブルやバーチャルホームアシスタント、Apple TVなど、さまざまなプラットフォームでユーザーが企業とつながっている現在、プッシュ通知によるユーザーとのつながりやエンゲージメントの可能性は、ますます高まっています。

そのため、マーケターにとっては、送信するメッセージを個別に最適化することがますます重要になります。詳しくは、こちらまでお問い合わせください。


アダム・スウィダースキー

アダム・スウィダースキー

ニューヨーク州クィーンズ出身のライター、エディター、ミュージシャン、サーファー、元オタク。テクノロジーと人間性の融合に興味がある。

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