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Brazeの発表


Braze日本法人1周年に思う、 日本のマーケティングDX普及期のチャンス

菊地 Max 真之 作成者: 菊地 Max 真之 2021/12/14

期待値を超えた日本市場の反応

Brazeの日本でのスタートから1年が過ぎました。2020年11月、Braze日本法人を設立し、日本市場での展開を開始して以来、瞬く間の1年でした。フェーズごとの活動としては、組織体制づくり、プリセールス、日本語コンテンツの翻訳、人材採用、外部パートナー開拓などの業務に追われていました。

何よりも感じるのは、日本市場での反応がわれわれの期待値を大きく上回っていたことです。コロナ禍での日本市場への参入にも関わらず、当初の予想を超えて、市場からの反応はとても良いものでした。トピックとして大きかったのは、スタートと同時に、メジャークライアントとの契約が決まったことです。ネット経済メディアのNewsPicks (文中敬称略)、日本最大級のコスメサイトのアットコスメ、看護師通販サイトのナースステージなどが一年目にしてBrazeを採用いただきました。また、USでのユーザーのメルカリや楽天などからも、日本法人として新たにサポートを開始しました。

こうした受注に加えて、多くのメディアからの反響もあり、パートナー企業としてのビジネスのオファーやアライアンスの提案も相次ぎました。こうした市場での反応も、期待値を超えていたといえます。その結果、1年目の業績としても大きな成長曲線を描くことができました。

参入のチャンスとなった2つの気運

今思えば、この時期での日本市場への参入は、われわれの掲げるカスタマーエンゲージメントのメッセージを伝えるタイミングとして好機だったと思います。その理由は、近年の日本のマーケティングの市場の中に「2つの気運」があったからです。

1つは、日本の企業やブランドの「顧客理解」への意識の高まりです。2020年、企業は顧客とリアルなコミュニケーションを取ることが難しい状況が続きました。企業やブランドは、顧客の心理の理解とコミュニケーションの重要性を以前から認識していたのですが、なかなか変化を起こせなかった。それがコロナ禍をきっかけに、行動変容が起きました。デジタルでのタッチポイントをより強化し、洗練されたものにする必要性に迫られたといえます。そしてそこにBrazeの「顧客を理解した上でのコミュニケーション」という提案が受け入れられたといえるでしょう。

2つめは、「陳腐化した手法からの脱却」が望まれていたことです。小手先のSEOによる扇情的な見出しのコンテンツ、クッキーによってつきまとう承認した覚えのない広告、一斉送信によるユーザーとは無関係の大量のメール……こうした手法に消費者、そしてマーケター自身も辟易していたのだと思います。また、最近のプライバシー意識の高まりもこれらの手法への抵抗を促すものでした。

こうした状況があったからこそ、顧客の行動を理解し、リアルタイムな分析やパーソナライゼーションによって、適切なタイミングで適切なメッセージを配信するというBrazeの主張はマーケターにとって受け入れられたのだと思います。マーケターはそれまでの制約を取り払う、新たなケイパビリティの獲得を求めていたのです。

象徴的な例は、先に上げたNewsPicksからの評価でした。モバイルファーストでネイティブアプリを提供されてきた同社ですが、以前は他のツールを採用していましたが、ユーザーへのメール送信などには限界を感じられていました。読者のユーザー体験を重視し、的確なコンテンツを読者に送り届けることにフォーカスしてきた同社だけに、ユーザーの行動を捕捉し、パーソナライズされたメッセージを送るという、Brazeのツールの目的や意図は、即座にご理解いただけたのだと思います。NewsPicksの他にも、この1年で日本法人として20社を超える企業様に採用いただいております。興味深いことは、お客様のマーケティングの成熟度やニーズによって、様々な課題をいただくことです。

US本社の的確な投資判断とサポート

お客様からたくさんの気づきをいただき、日本のマーケティング市場に大きな変革の波が来ていることを感じた1年でした。一方、日本の市場には特殊な課題があることも判明し、取り組んだ1年でもあります。

ひとつは、日本のモバイルコミュニケーションの環境の独自性です。日本では、企業と消費者とのコミュニケーションはまだメールが圧倒的です。モバイルのネイティブアプリでエンゲージメントを取る企業は、トップニッチ層にすぎず、大半の企業はユーザーにメールを送るという文化です。企業におけるSNSやチャット、メッセージングのツールの利用度も低い。そして、メッセージングにおいては、米国ではスナップチャット、WhatsApp、Facebookメッセンジャーなど多様なものがありますが、日本ではLINEが一般的です。個人間の利用だけでなく、企業からのメッセージや教育機関、公共のサービスまでLINEの使用率が高い。

日本市場の場合、US市場での成功法則だけではなかなか難しく、日本特有の条件に対応する必要があります。Braze本社の日本市場への的確な投資判断やサポートによりビジネスがしやすい環境を整えてくれたのは大きい事でした。LINEへのメッセージ配信のテンプレート、ダッシュボードの日本向けのローカライズ、日本で有力な顧客データプラットフォームであるトレジャーデータなどへの連携など迅速に対応が進みました。こうしたUSサポートに加え、多くの米国のエンタープライズ系企業の日本進出の知見を持つジャパンクラウドなど、素晴らしいプロジェクトメンバーに恵まれたことも成功要因です。

マーケティングDX普及期を見据えた戦略

マーケティングDX普及という面で、日本と米国ではまだギャップがあり、日本の状況は米国の4年前の状況だと感じています。4年前といえば、米国ではAIやクラウドの先進的なテクノロジー企業が台頭し、デジタルがビジネスとして定着した時代。日本はちょうど今、その段階に来ており、「デジタル」が喧伝され「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉を聞かない日はありません。

Brazeのカスタマーエンゲージメントは、今のところ、先ほどのNewsPicksや、メルカリ、楽天のような膨大なMAUを持つトップ企業に採用されています。現在のところメジャーブランドやアーリーアダプター的な企業の採用が目立つことから、市場戦略として「大企業狙い」とみなされがちですが、そんなことはありません。Brazeのグローバルの市場の中では、エンタープライズだけでなくSMBの市場も大きく、その比率は「50:50」です。

日本のマーケティングDX普及期にいたる数年が、Brazeの普及期にもなるでしょう。

そのためには、日本には固有の勝ち筋もあると思います。本来日本では、対面においては非常にきめ細やかで、顧客一人ひとりに対応するビジネス文化が形成されていました。「おもてなし」という言葉に象徴されるように、特に流通・小売・接客業においては日本の「顧客志向」は優れています。それが、デジタルのマーケティング分野では活かされず、陳腐化された手法に流されていた原因は、テクノロジーによる制約や、顧客をマスとしか捉えない広告・宣伝の旧来的な考え方によるものでした。そして今、その慣習は壊されようとしています。

一人ひとりの顧客を理解するというカスタマーエンゲージメントというコンセプトが、日本のマーケターの意識に刺激を与え、マーケターのマインドセットを変えていくと思います。

Brazeはそうした、日本のマーケターと共に歩んでいきたいと思います。

Braze株式会社
代表取締役社長 菊地 真之


菊地 Max 真之

菊地 Max 真之

菊地 真之は、Braze株式会社の代表を務めています。マーケティングの魅力と奥深さに魅了されたMax。そんな彼が興味をもっている次のビジネスは、宇宙関係のビジネスです。いつかは、果てしない可能性をもっている宇宙を使った事業を展開したい、と日々思案中です。

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