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CXとUXの違いを解説-それぞれの重要性や企業視点でのメリット

Team Braze 作成者: Team Braze 2023/06/15

語感もイメージも似ており混同されがちな「CX(カスタマーエクスペリエンス)」と「UX(ユーザーエクスペリエンス)」。両者の違いを理解すれば、顧客からの好感度の獲得や自社製品・サービスの競争力の向上を期待できます。

この記事では、CXとUXのそれぞれの定義と重要性、両者の違い、向上や改善を目指すことで得られる企業視点のメリットまでご紹介します。


1. CX(カスタマーエクスペリエンス)とは

CX(Customer Experience:カスタマーエクスペリエンス)とは、ある製品・サービスに関して、その出会いからアフターフォローまでの過程で顧客が得るすべての体験を意味します。

例えば、「サービスをWeb広告で見つけた後、問い合わせると素早く返答があった」「決済ページが使いにくかった」「導入後のトラブル時にも丁寧に対応してくれた」といった顧客の体験全般がCXです。ポジティブとネガティブ、両方の体験が含まれています。

ポイントとして、CXは商品の技術的・数値的性能よりも感情的な側面を指して使用されます。そのため「顧客体験価値」や「顧客経験価値」のように、体験・経験から生まれる心理的な価値を念頭に対策されることもあります。

なお、CXを向上させるための具体的な施策の流れやポイントについては以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。

顧客中心時代のCX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

1.1. CXの重要性

CXが重要視される理由は、自社製品やサービスがすでに持つ技術的長所以外に新たな強みを生み出せるためです。

ビジネスの高速化が進む中、近年は、登場時には独自性のあった商品があっという間に類似品に飲み込まれるケースも目立ちます。このような現象は「コモディティ化」と呼ばれており、一部の高度な知見を持つ企業を除き、技術面だけで他社との差別化を維持するのが難しい時代になりつつあります。

CXの向上はブランドイメージを向上させることにつながります。技術面や費用面以外に強みを持つことで、終わりのない価格競争からの脱却も視野に入るでしょう。


2. UX(ユーザーエクスペリエンス)とは

UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)とは、ある製品・サービスの利用によって得られる顧客の体験のことです。

CXとは異なり、購入までや購入後の過程は含まず、純粋に商品の利用から得られる体験を指します。すなわち、UXはCXの一部に含まれる概念です。「MAツールを導入してみたところ、想像以上に業務時間を削減できた」「帳簿のデジタル化のためにタブレットを導入したが、動作が遅く役に立たなかった」など、UXもポジティブとネガティブの両方の側面が考えられます。

2.1. UXの重要性

UXは自社製品やサービスが顧客に提供できる価値そのものであり、当然重要となります。一方、実務の観点からいえば、「製品・サービスの改善」と「マーケティング戦略の立案」において重宝します。

UXは「お客さまの声」とほぼ同義です。実際に利用した人の意見や感想であり、そこには商品改善や販売戦略への無数のヒントが眠っています。前述の例でいえば、タブレットの動作速度の向上を目指す、MAツールによる時短の側面をこれまで以上に宣伝するなど、自社が競争力を保つために活用できます。

3. CXとUXの違い

CXとUXの違い



前述の通り、CXの一部に含まれる要素がUXです。CXが製品・サービスとの出会いからアフターフォローまでの体験全般を指す一方、UXは使用時の体験を意味します。

実務において両者を活用するためには、以下の3点の違いも押さえておきましょう。

  • 対象者や数が異なる

  • 管理方法が異なる

  • 専門分野が異なる

3.1. 対象者や数が異なる

より広範な概念であるCXは、UXと比較して関わる人数も多くなります。営業やマーケティング担当のみならず、販売店のスタッフやコールセンターの人員なども顧客のCXに影響します。

一方で、UXはCXよりも関わる人数が少なく、対象者も明確です。製品の設計や開発を担う部門の人員、直接サービスを提供する人など、具体的に絞り込めます。

3.2. 管理方法が異なる

CXとUXの対象者や数の違いは、管理方法の違いにも影響します。UXは対象者の範囲が狭く、社内の特定の部門など一部の人員のみで管理・向上を目指せる内容です。

一方のCXは、販売を担う流通店やカスタマーセンターのような幅広い部門が関わってきます。ときには委託先企業まで含めた連携が求められるケースもあり、UXと比較すると管理にも向上にも相応の手間がかかります。

3.3. 専門分野が異なる

管理や向上に際して求められるスキルと専門分野が異なるのも、CXとUXの違いです。

UXを担当する人物には、顧客の潜在ニーズを読み取り、満足のいく製品・サービスを提供する能力が求められます。心理学や、商品開発に必要な当該分野の知識(例:MAツールであればITスキル)が重宝されるでしょう。

一方でCXを担当する人物には、前述の製品・サービスとの出会いからアフターフォローまでの流れを見通し、改善点を洗い出す力が求められます。幅広い関係者からの協力を得なければならないことも考慮すると、データ分析・マネジメント・経営学の知識が必要です。

4. UI(ユーザーインターフェース)との違い

CXやUXと混同されがちな言葉として「UI(User Interface:ユーザーインターフェース)」も挙げられます。UIとは、ユーザーがサービスを利用する際に触る機器や表示画面などを指しています。WebページのデザインなどもUIの一種です。

UIはUXを左右する要素の一つです。UIが優れていると「レスポンスが早い」「知りたい情報が一目でわかる」「思い通りに操作できる」といったポジティブなUXを生み出し、それがCXの向上にも寄与します。

ここまで、CX・UX・UIの特徴や違いについて解説してきましたが、最後にそれぞれの特徴をまとめました。

CX

カスタマーエクスペリエンス。製品やサービスに関して、その出会いからアフターフォローまでの過程で顧客が得るすべての体験。UXとUIを含む。

UX

ユーザーエクスペリエンス。製品やサービスの利用によって得られる顧客の体験。購入までや購入後の過程は含まず、純粋に商品の利用中における体験を指す。CXの一部。

UI

ユーザーインターフェース。ユーザーがサービスを利用する際に触る機器や表示画面など(例:Webページのデザイン)。UXを左右する要素であり、ひいてはCXを左右する要素でもある。


5. CXの向上やUXを改善するメリット


では、CXの向上やUXの改善により、企業にはどのようなメリットが生まれるのでしょうか。


5.1. UX:ユーザーに効果的にアプローチできる

前述の通り、UXは「お客さまの声」とほぼ同じです。そのため、UXに関する情報を積極的に集め、その声を分析することで、商品の長所と短所を割り出せます。

長所から逆説的に「この製品・サービスを必要としている(あるいは利用により大きな恩恵を得られる)層はどのような人物像か?」と計算することで、自社がアプローチすべき層を絞り込めます。結果として非効率な宣伝を減らし、限りのある広告予算の中で最大限の効果を獲得できるでしょう。

5.2. UX:ブランド価値の向上につながる

UXは自社ビジネスの根幹となる要素です。優れた製品・サービスを提供し、顧客にポジティブな体験を与えることができれば、自ずとブランド価値は向上します。

一方、たとえ商品提供やアフターサービスの過程が優れていたとしても、肝心の製品・サービスから得られる体験が悪くては、企業の評判も厳しいものになります。UXを改善することは、CXを向上させるために避けては通れない道です。

5.3. CX:認知の拡大や顧客満足度の向上につながる

CX(特に商品の提供過程やアフターサービス)を向上させることは、前述のUXの改善と同様にブランドイメージのアップにつながります。購入前や購入後にも丁寧な企業であると口コミが広がれば、それ自体が金銭・人的コストのかからない優れた宣伝になるでしょう。

また、CXの根底にあるのは、顧客に良い体験を届けること、すなわち顧客満足度の向上です。CXを高めようと取り組むその姿勢はステークホルダーからの共感を生み出します。

5.4. CX:リピーターやファンを増やせる

CXの向上による顧客満足度の改善からは、自社商品のリピーターやファンを増やす効果も期待できます。

「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」に代表されるように、新規顧客を開拓し続けるよりも既存顧客との関係を強化すべきであるとする考え方が浸透してきました。これは、ビジネス競争が過酷化するなか、新規顧客の獲得に必要なコストが企業に重くのしかかりつつあるためです。顧客のニーズを満たす新商品の発売をお知らせしたり、お困り事はないかと定期的に連絡をしたりと、CXの向上過程では自社とユーザーの結びつきを強化できます。一定数のリピーターやファンの確保は、盤石な経営体制を築くことにも役立つでしょう。

6. まとめ

CXは、「(製品・サービスとの)出会いからアフターフォローまでの顧客体験全般」を指し、UXはその一部である「製品・サービスの使用で得られる顧客体験」を意味します。

実務においては、担当者や管理する部門の違いを理解しておくことで、改善と向上の取り組みを円滑に進めやすくなるでしょう。この記事を参考にぜひその取り組みのメリットを理解し、自社の成長へとつなげてください。

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