カスタマーエンゲージメント


WWDC 2023、Apple Vision Pro がカスタマーエンゲージメントに与える影響

Team Braze 作成者: Team Braze 2023/07/21

2023年6月5日から5日間の日程で、Apple は毎年恒例のWorldwide Developers Conference (WWDC)を開催し、Apple が新製品や新機能を発表しました。最近のテック業界の発表はAIの開発に大きく焦点を当てているものが多い中、Appleは新たな生成的AIツールについてはあまり言及せず、Vision ProとvisionOS を発表しました。これはリアルとバーチャルの世界を融合させたMRヘッドセットと、それが動作するオペレーティングシステムです。

今年のカンファレンスでは多くのアップデートがありましたが、そのうちいくつかは企業と顧客の関わり方に変化をもたらす可能性があります。以下で、顧客エンゲージメントに影響を与えると思われるアップデートをご紹介します。

1. デバイスの横向き体験が変わる

この秋に登場予定のiOS 17は、iPhoneのオペレーティングシステムの最新バージョンです。月曜日に発表されたiOSのアップデートのほとんどは、ユーザーの日常的な利用体験の向上を目的としています。これには、体験のカスタマイズやタスクの効率化といった新しい手法も含まれます。たとえば、自動修正機能がより精度を上げ、iMessageはより洗練された見栄えとなり、カスタマイズ可能な名刺のような「連絡先ポスター」が追加されます。

このリリースの一環として、Appleはスタンバイ機能を導入します。これは、iPhoneを横向きで充電していても、離れた場所から見えるように設計された、全く新しいフルスクリーンの体験です。ユーザーは、ライブアクテビティをフルスクリーンで表示するなど、お気に入りのアプリから重要な情報を一目で確認できます。ライブアクティビティは昨年のWWDCでiOS 16の一部として初めて紹介され、Brazeはすぐにこの機能のサポートBraze Swift SDKに組み込みました。

オンデマンドデリバリー、旅行、スポーツ業界の企業は、ライブアクティビティを使用し、iPhoneのロック画面でリアルタイムに情報を共有してきました。今年後半にiOS 17がリリースされると、企業はスタンドバイモード上のライブアクティビティを使用し、さらに没入感のあるフルスクリーン体験の作成が可能になります。標準ビューで既にライブアクティビティを使用している企業は、フルスクリーン表示に対応する表示形式をテストし、更新の必要があるかもしれませんが、さほど工数を必要としないでしょう。

2. iPadのロック画面がiPhoneに追いつく

ライブアクテビティについて言えば、iPadOS 17は、今年、iPad向けにライブアクテビティをサポートする予定です。スポーツイベントのスコア、フードデリバリーの注文状況、フライトの進行状況など、リアルタイムの出来事をロック画面上で把握できるようになります。Braze は既に iPhone 向けのライブアクティビティをサポートしており、新しいバージョンのオペレーティングシステムが利用可能になると、iPadOS 17のサポートも追加する予定です。これにより、企業はリアルタイムのカスタマーエンゲージメントをさらに多くのデバイスに拡大できるようになります。

このリリースにより、iPadユーザーはお気に入りのウィジェットをiPadのロック画面に追加し、重要な情報を一目で確認できるようになります。ウィジェットは今後、インタラクティブになり、ユーザーがロック画面からアクションにすぐ繋げられます。既存のiPhoneウィジェットを持つ企業は、iPadアプリから多くのユーザーを呼び込むべく、iPadにもウィジェットの追加を検討するかもしれません。

3. 新しいワークアウトAPIで加速するwatchOS

ヘルスケアやフィットネス分野の企業にとって、watchOS 10の新たなAPIは、Apple Watchユーザー向けに強化された顧客体験の提供を可能とするでしょう。このAPIには、加速や急激な方向転換などの高速な運動データやワークアウトアプリにカスタムワークアウトをインポートする機能が含まれています。

これがカスタマーエンゲージメントにどんな影響を及ぼすでしょうか。フィットネスアプリは Apple Watch の動きを追跡し、通知やアプリ内メッセージを送信できるようになるかもしれません。これにより、ユーザーは今後のワークアウトを改善するために詳細にパーソナライズされた提案を受け取ることができます。例えば、Apple Watch から次のゴルフスイングの改善方法をプッシュ通知で受け取ることを想像してみてください。新しいAPI はゴルフクラブやテニスラケットを振る時の速度や加速度の急激な変化を検出できるため、手首の小さな動きを検出、改善提案をすることができます。このような機能は、テニスやゴルフにとどまらず、速い動きや激しい動きを必要とする身体活動に役立つでしょう。

4. プライバシーは引き続き優先事項に

プライバシーはこれまでのWWDC発表の主要な焦点でしたが、今年も変わりません。Appleは製品とオペレーティングシステム全体にわたり、約12の新しいプライバシーとセキュリティ強化を発表しました。カスタマーエンゲージメントの観点で注目すべきものは、メッセージ、メール、Safariのプライベートブラウジングに新たに追加された「Link Tracking Protection」機能です。Link Tracking Protection は、ユーザーがメッセージやメールアプリでリンクを共有したり、Safari のプライベートブラウジングでリンクを開くときに、URLからトラッキング情報を自動的に取り除きます。

Apple はこの機能について、すべての iOS 17ユーザーにデフォルトで有効になるのか、SMSのクリックトラッキングに影響があるのかなど、まだ多くの情報を提供していません。リンクトラッキングプロテクションの影響については、iOS 17のベータリリースでのテスト結果で評価される予定です。しかし、カスタマーエンゲージメントチームは、よりプライバシーを重視したアトリビューション方法を採用するための検討を今すぐ始めるべきです。Apple はマーケティング施策の成功を支援するためのトラッキング方法の変更、Mail Privacy Protection のようなプライバシー機能を導入してきた歴史もあるためです。

現在のところ、カスタマーエンゲージメントチームは、マーケティングチャネルでのコミュニケーションを希望する顧客へのアプローチに重点を置き、ファーストパーティ戦略を強化する必要があります。Link Tracking Protection による潜在的な影響を考慮した保護措置として、アプリ内やブラウザ内のアンケートを使用し、訪問者が特定のサイトにどのようにたどり着いたかを尋ねるなど、トラッキングソースの判別を支援する他の手段を検討することもできます。

5. Apple、Vision Proで新たな現実へ

WWDC 2023 で最も大きな発表は、新型の複合現実(Mixed Reality)ヘッドセット、Vision Pro の発表でした。これは2024年に3,499ドルで発売予定です。Vision Proは新しいオペレーティングシステム、visionOSを搭載し、visionOS専用に作られたアプリがダウンロードできる全く新しいApp Storeが提供される予定です。

Vision Proは、顧客エンゲージメントに様々な魅力的な可能性をもたらしますが、重要なポイントは消費者にどれだけ広く採用されるかにかかっている、ということです。とはいえ、Apple には新たなテクノロジーを「あればよかった」から「必ずないと困る」製品に変えるユニークな才能と力を兼ね備えており、カスタマー・エンゲージメント・チームが、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)がカスタマー・エンゲージメントの重要な要素となりえる未来を想定し、今から計画を練り始めることはかなり合理的な考えです。

この技術には多くの潜在的な用途がありますが、顧客とつながるための活用方法については特定の業界ではイメージしやすいかもしれません。例えば、メディアやエンターテイメントのブランドは、顧客がVision Proヘッドセットで映画鑑賞をしたり、コンテンツを閲覧したいと思うでしょう。また、モバイル・バンキングの世界ではどうでしょうか。複合現実(MR)の中で、顧客サービスがバーチャルな会話となるかもしれないし、3Dグラフで資産状況のポートフォリオをよりよく視覚化できるかもしれません。

では、実際の活用に向けた最初のステップは?それは、顧客にとって魅力的で付加価値のある複合現実(MR)体験がどのようなものかを把握することです。これらの体験がどのように展開されるかのイメージができたら、次のステップは、visionOSで利用可能なカスタマーエンゲージメントチャネルを理解し、それに応じて顧客とのタッチポイントをマッピングすることです。Apple は visionOS のチャネルサポートにまだ多くを語っていないため、プッシュやアプリ内メッセージのような馴染み深いチャネルが Vision Pro デバイスで利用できるのか、それとも visionOS 専用に設計された新しいチャネルがリリースされるのかはまだわかりません。詳細が分かり次第、Brazeブログで最新情報を共有し、Brazeプラットフォームで関連機能のサポートを追加する予定です。

最後に

Apple のファンは、熱心なアーリーアダプター(流行に敏感で、自ら情報収集を行い、判断する層)として有名です。これは、Apple のデバイスを使用し、アプリやウェブサイトを訪れる顧客は、新機能が利用可能になるとすぐに試したがる可能性が高いということです。そのため、最善の対策は、準備をすることです。可能な限り早く、SDKのアップグレードを計画し、iOS 17とVision Proのリリース日が近づくにつれ、関連するアップデートコンテンツに注目すべきでしょう。

上記に含まれるBrazeの分析および洞察はすべて、2023年6月9日時点でのAppleの製品発表に基づくものであり、Appleの製品リリースの時期や機能は変更される可能性があります。また、本ブログの投稿日以降に本情報を更新する義務を負うものではありません。


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