Braze導入3ヶ月で昨対MAU1.5倍!@cosmeの多様な入口をアプリで繋ぐアイスタイルの挑戦

本コンテンツは、2022年4月6日にMarkezineに掲載済みの記事の転載となります。
平田 順子[著] / 関口 達朗[写] / MarkeZine編集部[編]

クチコミ・情報メディアやEC、実店舗など、コスメ・美容に関わる様々なサービスを展開する@cosme。多様なサービスゆえに、ユーザーが分断しているといった課題を抱えていた。そこで統合型カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を導入し、数ヶ月で明確な成果を得られたという。どのような取り組みを行ったのだろうか。同サービスを運営するアイスタイルの木戸秋圭太氏、奥家沙枝子氏、伊藤春陽氏、池谷あかり氏に話を伺った。

多様な担当者が集まったマーケティングチーム

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、みなさまの手掛ける業務や担っているミッションについてお聞かせください。

木戸秋: 戦略企画本部の本部長を務めています。戦略の領域と、マーケティング、データの活用などを取りまとめています。今回のBrazeの選定・導入および、プロジェクトの責任者でもあります。

奥家:私は元々@cosmeの編集部に在籍していまして、今はそちらと兼務で戦略企画本部に所属しアプリを担当しています。アプリについては、主にCXを向上させていくことに取り組んでいます。

伊藤:私もプレミアム事業部という有料会員向けサービスの企画・運営と兼務で、戦略企画本部に所属し、アプリのグロースやECサイト「@cosme SHOPPING」への送客などに取り組んでいます。

池谷:私は戦略企画本部配下のグロース推進室の専属で、アプリマーケティングの企画を行っています。アプリからECサイトへの訴求などを進めています。

MZ:他の事業も兼務しているなど、メンバーの専門分野がそれぞれ異なる点が印象的なチームですね。

木戸秋: はい。奥家の持つ編集部での経験や、新卒入社して2年目の伊藤と池谷によるフレッシュな観点など、それぞれの強みや個性を生かした意見を出してくれます。チームにはもう一人別にデータアナリストもいて、いろいろな人材をミックスすることで相乗効果が生まれています。

様々な入口から来るユーザーを繋げる「アプリ」

MZ:@cosmeでは、ユーザーにどのような体験を提供したいと考えていますか?

木戸秋: 我々は@cosmeというメディアから始まった企業ですが、今ではECサイト「@cosme SHOPPING」、実店舗のセレクトショップ「@cosme STORE」、フラッグシップショップ「@cosme TOKYO」など、オンライン/オフラインを跨ぐ日本最大のコスメ・美容プラットフォームとなっています。それらを通じて、様々なシーンでお客様とブランドや商品を繋げることで、お客様がコスメや美容についての情報を得る機会を多く提供すること、その最大化をしていきたいと考えています。

 一方、メディアとして@cosmeをご利用いただく方、店舗をご利用いただく方、ECサイトをご利用いただく方など、お客様には様々な入口が存在します。そして、お客様によって利用しているサービスの範囲も違ってきます。そうした方々を繋ぐハブとしてアプリを位置付けています。

このアプリのダウンロード数・利用者数をさらに伸ばしていくことが、一つの課題でした。そこで、2021年の7月頃から、このメンバーでアプリをグロースさせるための取り組みを始め、9月からBrazeを活用しています。

導入・施策実行を短期間で進める、アイスタイルのスピード感

MZ:@cosmeアプリは以前から存在しますが、これまでのお取り組み状況はどのようなものでしたか?

木戸秋:実は、それほどアプリには注力できていませんでした。どのサービスから入ってきたお客様かによって興味関心も異なるものですが、提供するコンテンツや発信する情報などはすべてのお客様に向けて一括で提供する、画一的なものになっていました。そこをきちんとセグメントしてコンテンツの内容や情報を出し分けたいと考え、ツールの導入を検討することになりました。

MZ:数あるサービスから、なぜBrazeを選んだのでしょう。

木戸秋:直近で実施したい事柄ができる点と、なおかつ将来的な広がりを感じたからです。セグメントはもちろん、早期にシナリオを組んだ施策を始めたいという思いもあり、そのニーズに応えてくれるツールでした。

また、もちろん中長期的な視点も持った上で、今回は短期でグロースをしたい狙いがあり、スピード感も重視していました。昨年の7月からプロジェクトを始動し、8月の1ヶ月間でツールの選定・検討を行い、9月には導入と施策の開始を考えていました。このスピード感にご対応いただけたこともBrazeを選ぶポイントとなりましたね。

MZ:短期のグロースを実現するために、どのようなタイムラインで施策を行っていったのでしょうか。

木戸秋:まずはアプリをダウンロードしてもらうための施策を昨年10月から行いました。そして、11月にはアプリを使う回数を増やしてもらうための施策を、12月にはアプリからECに送客する施策、1月にはアプリ内で有料のプレミアムサービスへの入会訴求というように、フェーズを変えていきました。

パーソナライズやシナリオ設計で高度な施策をBrazeで実現

MZ:それでは、Brazeをどのように活用されているのでしょうか?

伊藤:最初は@cosmeの商品ページにアプリ訴求のポップアップバナーを表示することから始めました。バナーの文言によってクリック率やダウンロード数が大きく変わったので、BrazeのABテスト機能を活用して、より効果の出る文面になるようPDCAを回していきました。

奥家:Brazeに対して、@cosmeのどのサービスを利用しているかのデータも連携しているため、メディアからアプリに入ってきた人、ECからアプリに来た人、実店舗からアプリに来た人とセグメントし、配信する情報を出し分けるようにしました。

 例えば、実店舗を利用したことのある方には、再来店を促すよう店頭でのサンプル配布のクーポンを配信しました。ECサイトでは既存のお客様と新規のお客様をセグメントし、新規の方にはクーポンを、既存の方にはお得なキャンペーン情報を配信しました。

MZ:Braze導入のポイントにもなった、シナリオの設計にも取り組まれたのでしょうか。

伊藤:はい。12月には、「@cosme BEAUTY DAY」という、限定アイテムやお得なキットなどを販売する大きなイベントがあり、そこにフォーカスした施策を実施しました。アプリで取得できるクーポンを配信して、Webサイトから訴求することでアプリへの流入を促し、アプリ内で購買してもらうという流れを作ることを目指しました。

 @cosme BEAUTY DAYは4回目の開催で、まだそれほど認知度が高くないため、どのようなイベントであるかを紹介するコンテンツも訴求しなければなりませんでした。そして、アプリ内で購入をしたことがないお客様に向けてはクーポンを提供し、その翌日に@cosme BEAUTY DAYを訴求する配信をするというシナリオを組んで実施しました。

 クーポンを取得した人には次にこれを配信し、取得しなかった人には次にこれを配信するというように、どんどん分岐させたシナリオを設計しています。

池谷:クーポンの訴求は他のケースでも行いましたが、どのようなタイミングで配信するかによっても効果が違ってきます。例えば、コスメのことを考えていない時にクーポンのプッシュ通知が来てもあまり興味を持ってもらえません。Brazeでは今、お客様がどういった行動をしているのかという情報がリアルタイムで入ってくるので、アプリで商品情報を見ているタイミングでプッシュすることで、より効果的なアプローチができています。

導入から3ヶ月でアプリMAU1.5倍、DL数3倍に

MZ:導入から施策実施まで非常にスピーディーですね。成果の面ではいかがでしょうか?

木戸秋:アプリのダウンロード数は、12月の時点で約2~3倍まで増えました。アプリのMAUについても、それ以前と比べると1.5倍ほど増加しています。また、@cosme BEAUTY DAYのページへの送客も従来の約2倍と、短期間でかなりの手応えを感じています。

MZ:ツールとしてのBrazeの使い心地はいかがですか?

奥家:管理画面上で様々な設定ができる点が魅力だと思います。ユーザーのセグメントやABテストを手軽に行えるので、何をするとお客様に反応してもらえるのかが把握しやすくなりました。シナリオの設計も管理画面上で簡単にできて、配信後にどれだけの人が次のフローに行ったか、どれだけの人が行ってないかといったデータもすべて一つの画面内で見られる点が便利ですね。

伊藤:ダウンロード数などのコンバージョンも管理画面上ですぐに結果を見られるので、次はどのような施策を打てばいいか考えやすく、PDCAを高速で回すことができました。

池谷:以前はセグメントを切りたい場合は、エンジニアに依頼しなければデータを抽出できませんでした。高度なことをやろうとすればするほど工数が掛かる点も課題でした。しかしBrazeでは管理画面上から自分で設定できるので、スピーディーに施策の実行や意思決定が可能です。ABテストもリアルタイムで集計されるので、例えば1日配信してみて予想とは違う結果だったらどんどん差し替えていくというように、時間を掛けずに改善していくことができています。

奥家:ABテストによって様々な傾向もわかってきました。例えば、実店舗で過去にポイントを使ったことがあるお客様はポイント関係の訴求に反応する傾向があります。反対に、まだ買い物をしたことがないお客様には現品が当たるプレゼント訴求が効果的ですね。

伊藤:同じ訴求内容でも配信場所によって思っていた以上に効果が大きく違ってくることにも驚きました。また、ABテストによって、今どのカテゴリーが人気かといったユーザーニーズも把握することができています。それらを他の部署にも展開し、ユーザーのニーズに基づいてコンテンツを制作するなど、様々な場面で活用することができています。

アプリで@cosmeのイメージを一つに

MZ:最後に、今後の取り組みや展望をお聞かせください。

奥家:例えばラグジュアリーブランドのコスメが好きな方、プチプラのコスメが好きな方というように、好みに応じたより細かいセグメントを切った施策も今後は行っていきたいです。また、最近はパーソナルカラーがとても人気で、自分と同じ傾向の人のクチコミを見たいという要望も多いです。そういった情報の出し分けも行っていきたいですね。

伊藤:@cosmeに触れるきっかけは、メディアや店舗、ECサイトなど様々で、すべてのサービスを活用されているというお客様はまだまだ少ないです。お客様によって@cosmeのイメージもバラつきがあります。アプリで@cosmeの全サービスを認識してもらえるよう、回遊したくなる施策もやっていけたらと思います。

木戸秋:彼女たちが言う通り、今後も引き続き施策を続けていきたいと思っています。サービスのハブとなるアプリを引き続き成長させていければ、@cosmeをもっと強固なプラットフォームにできるのではないかと思います。アイスタイルは商品知識も、お客様についても現場担当のメンバーが非常によく理解してくれています。私は施策を実施しやすいようにサポートしつつ、データ・戦略・マーケティングのクロス思考で業務をしてもらえるような環境を作っていきたいですね。

MZ:本日はありがとうございました。

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