過去5年、McKinsey や Harvard Business Review を始めとする著名な専門家は、「ビジネスのなかでマーケティングがAIの恩恵をもっとも受ける」と語ってきました。
実際、マーケターの大多数(61.4%)は、自らの取り組みをサポートするためにAIを活用しているといい、88%は顧客の期待に応えて競争上の優位を得るために、AIと自動化の利用を増やすべきだと考えています。
この記事では、AIマーケティングの特徴や活用のメリット、活用例や企業事例、最初の一歩に適したおすすめツールをご紹介します。
AIマーケティングとは?
AIマーケティングとは、市場分析・コンテンツ作成・ターゲティングなどのマーケティング関連業務にAIの力を活用することです。AIを活用すれば、企業はマーケティングに費やす時間と費用を節約し、より多くの収益を生み出せます。
AIマーケティングは、従来はマーケティングの自動化を目指す取り組みでした。しかし最近では、生成AI(学習内容から新奇性のあるコンテンツを生み出せるAI)の登場により、施策の質の向上を目的とするケースも増えてきています。
昨今のAIブームの火付け役となった生成AIの詳細は、以下の記事で解説しています。
マーケティングでAIを活用するメリット
では、企業がマーケティングにAIを活用するメリットを具体的に見ていきましょう。
膨大なデータを活用できるようになる
AIの長所の一つに、膨大なデータを手軽に取り扱うことがあります。これは、ディープラーニングと呼ばれる、AI自身がデータの重要なポイント(特徴量)を見つけて学習を進める仕組みによるものです。
多くのAIでは、従来のITツールのようにデータの分析方法を1から10まで指示する必要がありません。AIの導入により、眠ったままの顧客情報などの自社のデータ資産をマーケティングの武器に変えられます。
一人ひとりに合わせた体験の提供が可能になる
膨大なデータの活用により、AIは顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験の提供を可能とします。過去の顧客行動や購買履歴などを高精度に学習し、ユーザーの趣味嗜好・特性を深く理解できるためです。好みに合わせて適切な製品を最適な方法・タイミングで宣伝することで、「まるで自分のためにある商品だ」と心をくすぐりやすくなります。
パフォーマンスの向上に繋がる
パーソナライズされた体験の提供は、マーケティング施策のパフォーマンスの向上に繋がります。いわゆる押しつけがましい宣伝を離れ、顧客が本当に必要とする情報をふさわしいタイミングで伝えられます。施策に関する意思決定の根拠を、直感や経験ではない客観的なデータとできるのも魅力です。
コストの削減や収益の増加に繋がる
AIを活用しデータからマーケティング施策の方針を決定するなかでは、成果の見込める層に絞って広告を出稿できます。闇雲に広告を乱発する場合と比較して広告費を大きく節約できるため、限られた予算を有効活用できます。もちろん、成約率の向上による収益の増加も期待できるでしょう。
生産性の向上・業務の効率化が図れる
マーケティング施策では多様なコンテンツ(例:画像、動画、文章など)を駆使しますが、それらは作成に時間がかかり、時には何度も修正が必要です。瞬時に大量のコンテンツを生み出せる生成AIは、このようなコンテンツ制作に費やす時間を削減し、自社に生産性の向上をもたらします。
リテンションを促進することができる
興味のないコンテンツやオファー。頻繁すぎるまたは不適切なタイミングで送信される煩わしいメッセージ。前述の通り、AIを活用すればこのような顧客を遠ざける不快なマーケティングを避けることができます。また、予測インサイトにより解約リスクのある顧客を瞬時に特定し限定オファーを出すなど、リテンションの維持を促進することも可能です。
3. マーケティングの現状
AIマーケティングに取り組む価値を知るために、そもそものマーケティング業務に関する現状や課題を押さえておきましょう。
マーケティングの現状や課題
Pontaポイントの運営として有名な株式会社ロイヤリティ マーケティングの2020年12月の調査によれば、マーケターが抱える課題として「1位:商品・サービスの企画・開発力不足」「2位:市場や競合に関するデータ不足」「3位:蓄積データの活用方法」が挙げられました。また4位には「社内の分析・マーケティング力不足」が続いており、アイデアの生み出しやデータの収集・分析・活用にハードルを感じている現状が見受けられます。
素早く大量のコンテンツを生成でき、データの分析や活用が容易となるAIは、この課題の大部分を解決できるツールです。
AIの活用状況
最近ではマーケティングにAIを活用する企業も増えてきていますが、総務省の令和5年情報通信白書では、世界のAI市場は2030年まで緩やかな加速度的成長が予測されています。
しかし、国別でのAIの導入状況を見ると、日本はTOP10に入っているものの、年々順位が低下しており、まだまだ活用が広まっていない状況であると言えます。
4. AIマーケティングの活用例
ここでは、AIマーケティングの活用例(活用できる業務の例)をご紹介します。
記事作成やキャッチコピー作成
人の目による最終確認や調節こそ必要なものの、AIは数千文字の記事や数百個のキャッチコピー案を瞬時に生成してくれます。最近では多くの企業が、ChatGPTを用いたAIコピーライティングツールのような文章生成AIを活用し、記事やキャッチコピーのアイデアを考え出しています。
画像の生成
AIは画像を用意する方法としても有効です。「こちらを笑顔で見つめるデフォルメされたクマ」のように、希望の画像イメージを文章で指示するだけで、それに応じた画像が生成されます。
レポートの作成
ダッシュボードやレポートの作成もAIを活用しやすい業務です。施策の広告効果のような分析したい数値データをAIに与え、「グラフを用いつつレポートにしてください」などと指示を与えるだけで草案が完成します。
校閲や誤字脱字の発見
AIは文章の校閲や誤字脱字の発見もこなせます。確認したい文章を与えつつ「口調や文法の問題、不適切もしくは攻撃的な言葉の使用について指摘してください」などと指示をすれば、レビューを提供してくれます。ただし、AIには人間のような感情や倫理観はないため、人による最終確認は必須です。
アプローチの強化
キャンペーンが送信される時間や使用するチャネルの吟味など、マーケティングのアプローチを強化する方法は数え切れないほどあります。AIは、リアルタイムのA/Bテストの実現などによってこれらの意思決定を助け、各ステップの半自動化までサポートしてくれます。
解約リスクの予測や優良顧客の可能性を特定
過去のデータから洞察を得て将来を高精度に予測することは、AIが特に得意とする作業の一つです。例えば、解約直前の顧客に共通する行動から警告サインを特定したり、優良顧客に育ち得る特徴を持つユーザー像を把握したりと、今後のアプローチの選定に役立つインサイトを獲得できます。
5. AIマーケティングを活用している3つの企業事例
では、実際にAIマーケティングに挑戦する3つの企業の事例を見ていきましょう。
KFCエクアドル
KFCエクアドルは、顧客の多くがアプリを使用してクーポンをダウンロードしているものの、受け取るだけで利用していないことが課題でした。
このようなプロモーションでエンゲージメントを促進するために、同社は、AIによる予測インサイトと自動化を活用して、受信者がエンゲージする可能性がもっとも高いタイミングを探りました。結果、適切なタイミングで顧客にアプローチすることで、収益を15%も増加させています。
Delivery Hero
大手ローカルデリバリープラットフォームの Delivery Hero は、ユーザーの解約を防ぐべくAIを活用しました。
同社では、どのユーザーが離脱のリスクがあるかを事前に把握し、マーケティングチームがその顧客に働きかけることで、リテンション率を向上させたいと望んでいました。そこで、解決策として予測型のAIソリューションを使用し、リスクのある顧客を特定。また、ユーザーの解約の可能性に基づいてパーソナライズされたオファーを送信するプロセスを自動化するAIもあわせて活用し、作業コストは低く離脱率も下げられるマーケティングモデルを作成できました。
8fit
健康・フィットネスアプリの 8fit は、BrazeのAIによる予測テクノロジーを活用し、購買・コンバージョンの可能性が高い顧客層を特定しました。Brazeには、ユーザーの購買可能性を0~100段階(数値が大きいほど購買可能性あり)でスコアリングできる機能があり、データを基準とした顧客のセグメント化をあっという間に実現できます。
購買を期待できる層に対してアプローチを行った結果、AIを使用しない場合と比較して、コンバージョン率の約4倍の向上に成功しています。
6. AIマーケティングには「Sage AI by Braze」の活用を
ここまでにご紹介してきた通り、AIマーケティングにはコストの節約や業務効率の改善といった魅力があり、多くの企業が競合からの外圧やコスト削減・プロセスの自動化を求める社内の圧力により、AIの導入に舵を切っています。AIマーケティングを実践する具体的な手段には、「Sage AI by Braze」の活用をご検討ください。
Sage AI by Brazeは、マーケターの日常業務の自動化と創造性のあるマーケティング施策の立案・実行をお助けするAIサービスです。あらゆるカスタマージャーニーにおける顧客エンゲージメントの強化を目指しており、各種コンテンツの作成や意思決定を自動化できる機能が揃っています。
名前の「Sage」とは、意思決定に関する深い知恵を持つ方やアドバイザーの意味。「自社のマーケティングにAIをどう活用すべきか分からない」という場合にも、Brazeは最初の一歩を示す相談相手のようにご活用いただけます。
Sage AI by Brazeの10の機能については、以下で解説しています。
7. まとめ
膨大なデータを簡単に分析し大量のコンテンツを瞬時に生み出せるAIは、マーケティングにおけるさまざまな課題を解決できるゲームチェンジャーです。これからのマーケティングで確実かつ効率的な成果を上げるために必須の存在といって良いでしょう。
マーケティングでAIを導入・活用する際は、ぜひSage AI by Brazeを活用し、AIがビジネスにもたらすインパクトを体感してください。
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