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カスタマーエンゲージメント


カスタマーエンゲージメントとは:重要性や向上ポイントについて解説

Team Braze 作成者: Team Braze 2022/02/21

「カスタマーエンゲージメント」はこの10年間で、ユーザーを個人として理解し、モチベーションを高め、関係を構築したいと考えているブランドにとって、必要不可欠な概念となっています。

この記事では、カスタマーエンゲージメントの意味、重要性や向上ポイントについて解説します。

カスタマーエンゲージメントの定義

なぜカスタマーエンゲージメントが重要なのかを理解する前に、カスタマーエンゲージメントとは何のことなのかを明確にする必要があります。Brazeでは、次のように定義しています。

カスタマーエンゲージメントとは、企業がお客様との直接的で意味のある関係を構築・維持するために行う一連の活動のことです。カスタマーエンゲージメントに優れた企業は、ユーザー生涯価値(LTV)が高く、獲得コストが低いため、長期的かつ資本効率の高いビジネス成長を実現します。先進的な企業は、顧客のプライバシーを尊重しつつ、価値あるメッセージング体験をすべての関連チャネルで提供することで、効果的なカスタマーエンゲージメントを実践しています。これらの企業は、顧客データを活用したカスタマー・エンゲージメント・テクノロジーを用いて、顧客の声に耳を傾け、顧客の行動を理解・解釈し、迅速かつ効果的に行動しています。

顧客満足度との違い

カスタマーエンゲージメントと顧客満足度は、混同されがちですが似て非なるものです。

顧客満足度は製品やサービスに対して顧客がどの程度満足しているかの指標であり、提供企業全体の評価とは必ずしも同じではありません。一方、カスタマーエンゲージメントは企業とお客様との関係性を表すものであり、サービスや製品の直接的な利用者以外との間にも存在します。つまり、評価が向けられる対象が異なるのです。

顧客ロイヤルティとの違い

顧客ロイヤルティ(Customer Loyalty)は、お客様がプロダクトやサービス、会社に対しどの程度「忠誠心(Loyalty)」や「愛着」を持っているかを表すものです。アンケート調査などを通じて、お客様の感情を想定します。

顧客エンゲージメントとの違いはそれぞれの調査プロセスにあります。ロイヤルティにはNPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)と呼ばれる指標を使うのに対し、顧客エンゲージメントはお客様が実際に起こしたアクションに基づき測定されます。

つまり、顧客ロイヤルティは「顧客の感情」の調査指標であるのに対し、顧客エンゲージメントは「顧客の行動」の調査指標となっています。

顧客ロイヤルティについては以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

>顧客ロイヤルティの重要性とは?向上させるメリットや顧客満足度との違いについて解説

【関連用語】カスタマーエンゲージメントについてはこちら

カスタマーエンゲージメントの重要性とは

2011年以降、「カスタマーエンゲージメント」という言葉への関心が高まり、さまざまな場面で聞かれるようになりました。これは、マーケティング、グロース、エンゲージメントの各チームが、顧客と自社ブランドとの関係性や、その関係性を効果的に育むために必要なデータ、ツール、戦略に注目するようになったことを反映しています。では、カスタマーエンゲージメントはなぜ重要なのでしょうか。

カスタマーエンゲージメントの今まで

かつては、音楽はカセットテープで聴き、映画はビデオデッキで見て、食料品や衣料品、家庭用品など、何かを買いたいときは実店舗に行っていました。しかし、ほとんどのブランドを購入する際には、そのブランドの商品を再販している第3者の小売業者を経由していたため、顧客とブランドの直接的な関係を築くことは不可能でした。

その後、状況は変化しました。1990年代に入り、多くのブランドが、インターネットという新たなデジタルプラットフォームにビジネスを展開する機会を得ました。それにより、ブランドや企業は、顧客の購買状況や購買に至るまでの行動をデータとして取得できるようになりました。購買行動が把握できることにより、顧客とブランド・企業の関係性が推測できるようになったのです。

顧客接点の変化

なぜ今カスタマーエンゲージメントが重要なのか?一言で言えば、「世界が変わり顧客接点が変化したから」です。

現在、オンラインで商品を販売している小売業者は710万社にのぼり、そのうち米国だけでも180万社が存在しています。ウェブサイトを訪れた人やメールリストに登録した人と直接話すことができ、直接的な関係を築くことができるようになったのです。

コモディティ化の進行

スマートフォンの台頭により、モバイルアプリとモバイルメッセージングチャネル(プッシュ通知やアプリ内メッセージなど)が登場し、どんなブランドでも、アプリ内とアプリ外の両方で、モバイル上で顧客に直接かつ効果的に語りかけることができるようになりました。

またDXの加速により店舗とオンライン上での行動をつなげることが可能になったことで、顧客と企業の関係性がさらに見えるようになりました。

一方、ブランドが顧客に語りかける方法の数が増えるにつれ、これらのデジタルチャネルやプラットフォーム、デバイスに付随するノイズも増えています。一人ひとりのお客様を理解し、付加価値を提供する、まとまりのあるレスポンスの良いダイレクトメッセージを提供することは、数年のうちに夢物語から現実的なものになり、カスタマーエンゲージメントは抽象的な概念ではなく、すべてのブランドが考えなければならないことになりました。

カスタマーエンゲージメントを向上させるメリット

カスタマーエンゲージメントを向上させることには大きく分けて以下の4つのメリットがあります。

優良顧客の獲得につながる

カスタマーエンゲージメントが高まると、優良顧客の獲得はもちろん、その育成にもつながります。カスタマーエンゲージメントの向上により実現したアップセル・クロスセルがさらなる顧客エンゲージメントの向上・強化につながり、これまでになかった好循環が期待できるようになります。

リピート率の向上が見込める

カスタマーエンゲージメントが高まると、リピート率の向上を見込むことができます。顧客をファン化することで、自社の商品やサービスを継続利用してもらうことが期待できます。

たとえば、ある物が壊れ次の購入を考える際に、第一に候補に挙げてもらえるようになるといったことです。継続購入をする顧客を育成することにより、企業は安定的な収益を見込むことができます。

新規顧客の獲得につながる

カスタマーエンゲージメントの高い優良顧客は新規顧客の獲得にも貢献してくれます。彼らが家族や友人など周囲の人に自社商品を宣伝することで、他者の顧客エンゲージメントも高めてくれるからです。

また、SNSの普及により個人が広く情報を発信できるようになりました。同じ消費者である一般顧客の口コミやレビューは、時に広告よりも強い宣伝効果を発揮することがあります。カスタマーエンゲージメントの高い顧客は、ある意味これ以上ない広告塔であり、パートナーでもあるのです。

製品・サービスの向上が図れる

カスタマーエンゲージメントが高い顧客のほとんどはSNSでネガティブレビューを発信したりせず、カスタマーサポートに情報提供してくれます。このような顧客のフィードバックは自社の課題や改善点を把握することにつながります。それが製品・サービスに反映されれば、より顧客満足度を高めることにつながります。

カスタマーエンゲージメント向上のポイント

カスタマーエンゲージメントを高める必要性やメリットが理解できたところで、実際にカスタマーエンゲージメントを向上させるためのポイントを解説します。

顧客情報の収集・分析

最も重要なことは、顧客に関するデータを収集し分析することです。収集したデータを分析すれば、顧客を正しく、そして深く理解でき、よりパーソナライズされたブランド体験の提供が可能になります。

年齢や性別、購入傾向、購入頻度などのデータは数値化しやすく、必須のデータとなります。顧客データを入手するタイミングは、会員登録時、店頭およびECでの販売時などです。SNSのアカウント紐づけにより投稿などのデータを分析する方法もあります。

顧客データの分析方法には、セグメンテーション分析やバスケット分析など、さまざまあります。セグメンテーション分析は、顧客の属性ごとに傾向を分析する方法です。バスケット分析なら購買データなどを活用し顧客の購買傾向を把握することができます。

課題の洗い出しと戦略立て

顧客データの分析が終わったら、課題を洗い出し、戦略を立て、施策を実行します。その際、洗い出した課題に基づいたコンシューマージャーニーを策定すると良いでしょう。商品の認知から購入・利用までの一連のプロセスを書き起こし、セグメントごとのターゲットユーザーに対して最適化された体験を考え、施策に落とし込んでいきます。

ベストインクラスのカスタマーエンゲージメントとは?

この1年で、COVID-19の影響を受けて、顧客基盤を強化するための大きなステップを踏むブランドが増えてきました。ビジネスのオンライン化が進む中、マーケティングチームは、これまで経験したことのないような直接的で意味のある方法でユーザーとエンゲージする方法を見つける必要があります。これは大きな課題ですが、正しいことを優先しさえすれば、ビジネスの成果と顧客関係を改善することができるのです。

Brazeでは、カスタマーエンゲージメントを事業の中心に据えています。長年の経験から、ブランドにとって重要な領域であるカスタマーエンゲージメントについて、何が有効で何が有効でないかを多く学んできました。最良の結果を得るためには、カスタマーエンゲージメントの取り組みが以下の点を重視していることを確認してください。

ヒューマンコミュニケーション

今日の消費者は、人間として扱われることを望んでいます。つまり、消費者が発するシグナルに耳を傾け、消費者の欲求やニーズに注意を払い、これらの洞察に基づいて、ブランドが普通の人と同じように消費者に語りかけることができるようにするのです。そのためには、広報活動で使用する言葉に気を配り、テクノロジーを活用して、意味のある方法でメッセージをパーソナライズする必要があります。

参考レポート:あなたのブランドはどれくらい「人間らしい」か? Brand Humanity Index(BHI)

クロスチャネル・メッセージング

今日、すべてのお客様に語りかけることができるチャンネルはありません。消費者が自由に使えるデバイスやプラットフォームは非常に多く、ブランドに対する体験をカスタマイズすることが可能になっています。そのため、マーケティング担当者は、ユーザーが好むプラットフォームやチャネルで効果的にユーザーにアプローチすることが不可欠になっています。Brazeの調査によると、製品内(アプリ内メッセージングやコンテンツカードなど)と製品外(プッシュ通知やSMSなど)のチャネルを組み合わせたクロスチャネルアプローチで顧客にメッセージを送っているブランドは、総合的なパフォーマンスが最も高い傾向にあります。

参考ブログ:Brazeのクロスチャネルとパーソナライゼーションを活用しマーケティングの効率化へ

レスポンシブでデータに基づいた体験

クロスチャネルで提供されるヒューマンコミュニケーションは、効果的なカスタマーエンゲージメントの基盤を形成しますが、それだけではありません。しかし、それだけではありません。ブランドにとっては、顧客データを活用して、リアルタイムで応答性の高いユーザー体験を提供することも重要です。顧客が重要な行動をとったとき、またはとらなかったときにメッセージを表示し、データの俊敏性を優先して、すべてのユーザーの全体像をライブで更新することで、マーケティング担当者は、より意味のある効果的なカスタマージャーニーをサポートし、長期的なビジネスの成果を高めることができます。

まとめ

カスタマーエンゲージメントは、ビジネスの成功の鍵となります。クラス最高のカスタマーエンゲージメントが顧客との関係や収益にどのような影響を与えるか、ブランドがその全体像を理解できるように、Brazeはカスタマーエンゲージメントに関する包括的な考察をまとめました。

2022 グローバルカスタマーエンゲージメントレビュー」レポートでは、Wakefield Research社が実施したマーケティング意思決定者を対象とした世界規模の調査から得られたデータ、Brazeのエンゲージメントデータの詳細な分析、主要ブランドの独自のケーススタディを活用して、今日のカスタマーエンゲージメントがどのようなものであるか、マーケターがどのようにそれを最大限に活用できるかの全体像を示しています。詳しいレビューはこちらから是非ご覧ください。

また「カスタマーエンゲージメント 完全ガイド」ではカスタマーエンゲージメントを実際に始める際に検討すべきことや重要な原則などを記載しています。是非こちらのガイドもご活用ください。

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